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鼠径(そけい)ヘルニアとは

足の付け根あたりを『鼠径部(そけいぶ)』と呼びます。この鼠径部がぽっこり膨らみ、患者さんによっては痛みを伴う病気です。『脱腸』と呼ばれることがあります。
似た病気に、『大腿ヘルニア』があります。鼠径ヘルニアよりも足側が膨らむ病気です。

膨らみ(腫れ)が主な症状の場合、鼠径ヘルニア以外にも、リンパ節の腫脹や動脈瘤・静脈瘤という血管の異常、腫瘍などの病気である可能性があります。
また痛みが主な症状の場合、恥骨結合炎や大腿内転筋付着部炎、グロインペイン症候群(スポーツヘルニア)、子宮内膜症などの可能性があります。
一般の方では判断が難しいので、鼠径部の症状でお悩みの方は、一度ヘルニア外来を受診してみてください。
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鼠径ヘルニアの原因

成人のヘルニアの場合、加齢により筋肉が薄くなることが原因です。
腸や肝臓などの内臓は腹膜と呼ばれる薄い膜で包まれた状態で、何枚かの腹筋で作られた腹壁によって囲まれています。
腹壁を作る腹筋には隙間が空いており、睾丸へ向かう血管や睾丸で作られた精子を尿管へ運ぶ精管が(女性では子宮を固定する靭帯が)その隙間を通過しています。
内臓は外に飛び出さないよう、隙間は筋肉ごとにズレるように位置しています。
血管や精管のみがこのズレをすり抜けるような構造になっています。
年齢を重ねると筋肉が薄くなっていき、隙間が大きくなってしまいます。
その結果、隙間のズレがなくなり、内臓を覆っている腹膜が袋状に伸びていき、内臓が腹膜の袋を被った状態でこの隙間を通過するようになってしまいます。
この隙間のことを『ヘルニア門(もん)』と呼びます。
伸びた腹膜を『ヘルニアザック』と呼びます。

鼠径ヘルニアの治療

残念ながら鼠径ヘルニアを完治させる方法は手術しかありません。
腸がヘルニア門に嵌頓(かんとん:はまり込んでしまうこと)して血流障害を起こしてしまった場合は緊急手術が必要です。たびたびはまり込んでしまい痛みが出るものの、なんとか戻して難を逃れている様な方はなるべく早い時期の手術をお勧めします。
強い症状がない方は、嵌頓の兆候がない限り経過観察することも可能です。
鼠径ヘルニアの手術といえども、手術は体に負担を強いる行為でもあります。手術をすることのリスク・しないことのリスクを十分に検討し、手術をお受けになるか経過観察をおこなうか選択する必要があります。
鼠径ヘルニアと言われたものの、手術を受けた方がよいかお悩みの方はヘルニア外来を受診してください。

手術の方法

鼠径ヘルニアの手術では、臓器が脱出する袋状に伸びた袋(ヘルニアザック)を切除し、切り口は縛って閉鎖します。
これだけで終了すると、腹膜は縛った部分を先端にして、再び袋状に伸びてしまいます。
そこで筋肉の隙間(ヘルニア門)を小さくする必要があります。
かつては筋肉・靭帯などご自身の組織を縫い縮めてヘルニア門を小さくしていましたが、再発率が高いことが問題でした。
そこで現在では人口繊維(ポリプロピレンやポリエステル)を網状に編んでメッシュ状のシートにし、弱くなった筋肉を補強することで腹膜が伸びて出てこないようにします。
鼠径ヘルニア手術の基本的な手順は以上のようになりますが、それを実現するために様々な方法が考案されています。当院で行われている方法はリヒテンシュタイン法、メッシュプラグ法、クーゲル法、ダイレクトクーゲル法、TAPP(タップ)法、TEP(テップ)法、Marcy(マーシー)法、LPEC(エルペック)法などです。
これらは@組織縫合法とメッシュ法 A鼠径部切開法(通常法)と腹腔鏡手術 B前方到達法と腹膜前修復法 に分類することができます。
それぞれの方法には長所短所があり、鼠径ヘルニアの状態やお体の状態(年齢や併存症の有無)によって適した方法があります。
外来診察後、ご希望を考慮しつつ最適な方法をご提案します。

<参考>鼠径ヘルニア手術の分類

@組織縫合法とメッシュ法
1980年台前半までは鼠径ヘルニアの手術はご自身の筋膜を縫い合わせて補強する、組織縫合法が行われていました。しかし再発率の高さや術後の痛みや違和感が問題となっており、1980年台後半に人工繊維で作られたメッシュを用いた補強法が登場してからは、成人の鼠径ヘルニア手術はほとんどがメッシュ法で行われています。 
組織縫合法は小児の鼠径ヘルニア手術で行われていますが、成人においては20-30代女性のごく小さい鼠径ヘルニアや、腸管切除を必要としたヘルニア嵌頓手術時など一部で行われるのみです。
A鼠径部切開法(通常法)と腹腔鏡手術(TAPP法・TEP法)の違い
鼠径部切開法では、膨らんだ鼠径部の少し上の皮膚を4cmほど切開し、ヘルニア部分の表面側からヘルニア門に到達します。
袋状になった腹膜(ヘルニアザック)を縛り、メッシュで薄くなった筋肉を補強して穴をふさぎます。
腹腔鏡手術では臍部と下腹部に2カ所、5-10mmほどの穴を開けてカメラと器具を挿入します。ヘルニア門を後ろから観察して、弱くなった腹筋を裏打ちするような形でメッシュを入れて補強します。
鼠径部切開法の利点:手術が短時間(腹腔鏡手術の1/2)、医療費が安い
腹腔鏡手術の利点:傷が小さく目立ちにくい(特に両側手術を受ける方)、より大きいメッシュを挿入できるため広い範囲を補強できる、反対側の鼠径部にヘルニアが存在するか診断できる
B前方到達法と腹膜前修復法
メッシュを敷く位置により、筋肉の間(鼠径管後壁)に敷く前方到達法と、腹膜の前で筋肉(鼠径管後壁)の後ろに敷く腹膜前修復法があります。
前方到達法はリヒテンシュタイン法やメッシュプラグ法などの鼠径部切開法により行われます。
腹腔鏡手術では腹膜前修復法です。
クーゲル法は鼠径部切開法ですが、腹膜前修復法に分類されます。
メッシュを用いた手術方法は各種あり、ABのように分類される特徴がありますが、優劣はありません。患者さんに適した方法を選択します。

術後再発例は、前回手術と異なる方法を選択する方が手術の確実性が上がります。初回手術で前方到達法を行った後の再発例では腹膜前修復法を、初回手術が腹膜前修復法を行い再発した場合は前方到達法を選択することが多いです。
また、再発例や複雑なヘルニアに対して、腹腔鏡観察を行いながら鼠径部切開法(前方到達法)で手術を行うハイブリッド手術も有効です。

鼠径ヘルニア手術の術後合併症

出血・血腫の形成
皮下組織やメッシュ周囲で術後出血が起こり、血液が溜まることがあります。
少量であれば自然に吸収されます。出血量が多い場合は再手術による止血を行います。
漿液腫
ヘルニア手術部に浸出液(傷に出てくる透明な液体、リンパ液など)が溜まることがあります。
多くは自然に吸収されますが、痛みを伴う場合は針を刺して抜くことがあります。
創部感染
傷が化膿し、メッシュにまで菌が及ぶと治りがわるく、メッシュを摘出せざるを得なくなります。
腸が嵌頓して腸管切除を行う必要がある場合には感染の可能性が高くなりますので、あえてメッシュを使用しない方法で手術を行うことがあります。
精索の損傷
ヘルニアザック周辺の慢性的な炎症により精管・精巣動静脈とヘルニアザックの癒着が強い場合などで、これらが切れてしまうことがあります。
慢性疼痛
メッシュの周囲に過剰な炎症反応がおこり慢性的な疼痛を訴える事があります。
鎮痛薬でも押さえられない場合は、ブロック注射などのためペインクリニックを受診したり、メッシュを除去する必要があります。
再発
メッシュを使用した方法でも数%で再発の可能性があります。
メッシュがずれて術後早期に再発するケースと、数年後にメッシュの周辺から再発するケースがあります。
その他・全身合併症
手術が体に及ぼす影響に各臓器が耐えられず、心不全や肺炎、腎不全など臓器の機能に異常がでる可能性があります。
手術中・手術後は血圧の変動などがおこりやすく、脳梗塞や心筋梗塞などを発症するリスクがあります。
手術中・手術後に肺塞栓症(エコノミークラス症候群)などを起こすこともあります。
ヘルニア手術は負担が比較的少ない手術に分類されますが、年齢や現在治療中の病気によってはリスクが高くなることもありますので、術前外来では全身チェックを行います。

受診から入院・手術までの流れ

@Webもしくはお電話でヘルニア外来を予約いただきます。
手術希望日がお決まりの場合、Webでは仮予約をすることができます。手術希望日の2週間前までにヘルニア外来を受診してください。
手術を受けるかお悩みの方、症状が鼠径ヘルニアによるものか判断がつかない方はまずは受診をしていただき、医師の診察・説明をお受けください。
※鼠径ヘルニアの診療は、通常の外科外来でも行っています。
時間の都合がつかない方は通常の外科外来で診察いたします。
A予約日にヘルニア外来を受診いただきます。
担当医による診察・説明のほか、CT検査でヘルニアの状態を確認すると共に、反対側のヘルニアの存在を評価するほか、他の腹部疾患の有無について評価します。
また、手術前検査(血液検査・胸部腹部レントゲン検査、心電図検査)による手術リスク評価を行います。
診察終了後に入院手続きを行って頂きます。
(入院についてはこちらをご参照ください。) 
B手術前日に入院いただき、翌日手術を行います。
術後2日目に退院する3泊4日入院を基本スケジュールとしています。術後の経過、痛みの強さ、年齢、併存症の有無により入院期間は変動しますが最短で手術翌日の退院も可能です。
※現在、新型コロナ感染症蔓延予防のため、ご家族の面会・病室内への立ち入りをご遠慮いただいております。手術当日のみ、手術室の入退室時に短時間のみ、お会い頂くことは可能です。
C退院後、約2週間後に外来を受診いただき、傷の状態や合併症の有無(特に漿液腫の有無)について確認します。

外来・術前検査費について

3割負担の方:約12000円
1割負担の方:約4000円
(検査内容によって変動があります)

入院・治療費について

通常法(片側の場合)
3割負担の方
1割負担の方
8〜9万円 3万円前後

腹腔鏡手術
3割負担の方
1割負担の方
14〜15万円※ 5万円前後
(入院期間・治療内容によって変動があります)
※年齢・所得により高額医療費制度に該当するケースがあります。
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