術後の合併症について

術後の合併症について
(カッコ内は2016年からの5年間に当院で手術を行った258症例の合併症頻度)

出血・血腫の形成

皮下組織やメッシュ周囲で術後出血が起こり、血液が溜まることがあります。
少量であれば自然に吸収されます。出血量が多い場合は再手術による止血を行います。(1.2%)

漿液腫

ヘルニア手術部に浸出液(傷に出てくる透明な液体、リンパ液など)が溜まることがあります。
多くは自然に吸収されますが、痛みを伴う場合は針を刺して抜くことがあります。(17.8%、穿刺実施 4.3%)

創部感染

傷が化膿し、メッシュにまで菌が及ぶと治りがわるく、メッシュを摘出せざるを得なくなります。
腸が嵌頓して腸管切除を行う必要がある場合には感染の可能性が高くなりますので、あえてメッシュを使用しない方法で手術を行うことがあります。(0.3%)

精索の損傷

ヘルニアザック周辺の慢性的な炎症により精管・精巣動静脈とヘルニアザックの癒着が強い場合などで、これらが切れてしまうことがあります。(0.3%)

慢性疼痛

メッシュの周囲に過剰な炎症反応がおこり慢性的な疼痛を訴える事があります。
鎮痛薬でも押さえられない場合は、ブロック注射などのためペインクリニックを受診したり、メッシュを除去する必要があります。(初回外来で鎮痛剤を再処方したのは 7.0%、術後疼痛で2回以上の通院されたのは0.3%)

再発

メッシュを使用した方法でも数%で再発の可能性があります。
メッシュがずれて術後早期に再発するケースと、数年後にメッシュの周辺から再発するケースがあります。(2.0%)

癒着・腸閉塞

メッシュが腹腔内に露出するなどの理由で腸管などが手術部位に癒着して腸閉塞を起こすことが稀にあります。(0.8%)

その他・全身合併症

手術が体に及ぼす影響に各臓器が耐えられず、心不全や肺炎、腎不全など臓器の機能に異常がでる可能性があります。
手術中・手術後は血圧の変動などがおこりやすく、脳梗塞や心筋梗塞などを発症するリスクがあります。
手術中・手術後に肺塞栓症(エコノミークラス症候群)などを起こすこともあります。
ヘルニア手術は負担が比較的少ない手術に分類されますが、年齢や現在治療中の病気によってはリスクが高くなることもありますので、術前外来では全身チェックを行います。

参考

手術方法別の手術後在院期間中央値と手術時間中央値(両側鼠径ヘルニアも含みます)
前方アプローチ(従来法): 4.6日(2-7日) 82.7分(52-120分)
クーゲル法: 3日(1-5日) 80.5分(75-86分)
腹腔鏡: 1.6日(1-2日) 121分(89-178分)

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