2022.05.06
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に関するご質問
今後感染に関しての対応は県の指導を受けて行ってまいりますが、よくあるQ&Aを抜粋してご紹介しますので、ご参照ください。
Q1.バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)とは、どのような菌ですか
腸球菌とは、動物の腸等に常在している菌です。
VREとは、バンコマイシンという抗生薬に耐性を獲得し、バンコマイシンが効かなくなった腸球菌です。VREの問題点として、VREに対して有効な抗生薬が限られることが挙げられます。
Q2.近年、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)による院内感染の状況はどうなっていますか
感染症発生動向調査におけるバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の届出患者数は2011〜2019年まで年間100例未満でした。しかし、2020年は過去最多の135例(2021年1月25日現在)であったと報告されています。
特定の地域に限らず、全国的に増加しているとも指摘されています。
(国立感染症研究所HP:https://www.niid.go.jp/niid/ja/vre m/vre iasrs/10264 495p01.html)
Q3.VREに感染するとどうなりますか
普通の健康な方の腸内にVREがいても、病原性が非常に弱いので感染症を起こすことはありません。
しかし、がんや免疫不全を来す基礎疾患のある患者さん、術後の患者さん、免疫抑制剤等の使用中の患者さん等、免疫機能の低下した患者さんでは、VREによる感染症を起こすことがあります。また、免疫機能の低下した患者さんでは、VRE以外の菌が検出されることもあり、それらの菌に対する治療も必要となり得ます。
Q4.VREの「保菌」と「感染」は、どう違うのでしょうか
腸内にVREが存在するだけの状態であり、発熱等の感染症状や、何らかの病気を起こしていない状態を保菌といいます。一方、VREが発熱等の症状を起こしている状態を感染といいます。
Q5.どのようにしてVREに感染したか確認できますか
VREの有無は、便や直腸のぬぐい液を培養することで確認することができます。院内感染の可能性を調べるため、入院患者さんの保菌調査を行い、VREの広がりの調査をしています。
なお、検査により、入院前からVREを保菌していたのか、誰かから感染したのかを特定することはできません。
Q6.VREに感染すると退院できないのですか
入院の原因となった病気が治れば通常通り退院できます。
高齢者でVREを保菌している方が老人保健施設や介護施設に入所又は帰所される場合、各施設の受け入れ態勢が整うまで、退院延期になることもあります。
Q7.家族に感染しませんか
VREは、飛沫ではなく接触によって感染が広がります。このため、手洗い、清潔維持等の基本的な感染予防対策を行うことが有用であると考えられます。
仮にご家族がVREに感染したとしても、健康なご家族であれば感染症を引き起こす可能性はほとんどありません。
Q8.退院後の生活はどうしたらよいですか
周囲に高齢者や新生児、特別に抵抗力が弱い方がいない場合は、過度に神経質になる必要はありませんが、次のことを心がけてください。
食事前、トイレ後は石鹸と流水で手洗いしてください。温水便座に関しては、定期的に清掃を行い感染に注意してご使用ください。できるだけ入浴し体を清潔にします。浴槽には体を洗ってから入るようにしましょう。下着が便や尿で汚れた場合は、下洗いをすれば他の家族の洗濯物といっしょに洗えます。よく乾燥させてください。食事や運動には制限はありません。
Q9.入院予定ですが感染しないか心配です
ご心配をおかけして申し訳ありません。当院では職員及び患者さんの手指消毒の徹底、環境清掃の強化等、今まで以上に感染防止対策に取り組んでまいります。
参考:国立感染症研究所感染症情報センター
バンコマイシン耐性腸球菌感染症VREとは
バンコマイシン耐性腸球菌:国立感染症研究所感染症情報センター(nih.go.jp)